発酵食品の第一人者、伏木暢顕氏の単発の発酵教室が開催されるという情報をゲットしたので、初めて参加してきました!!
場所は文京区大塚、細い路地に面した建物で、NAVI TIME片手に行ったのですが、ちょっと迷う。
場所はこちらです。発酵食品に関する色々なワークショップも開催されています。
Life-Style Lab 葉菜水木 東京都文京区大塚5-22-2
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発酵食品について
もともと「野菜料理」が今回のテーマだったのですが、伏木氏開口一番曰く「野菜だけではおいしいものは作れない!」。
野菜だけではタンパク質が足りないのがその理由だそうです。確かに旨味成分であるアミノ酸はタンパク質が分解してできるもの。
植物系のタンパク質としては大豆が代表的ですが、そういうわけで大豆からできた味噌、醤油が調味料になっているのです。
納豆について
大豆つながりで納豆の解説もしてくださったのですが、製品としてのひきわり納豆は乾燥大豆の状態でクラッシュしてから水に漬けて蒸しており、大豆の栄養素は水溶性のため、栄養素がほとんど抜けてしまっているとのこと。なので納豆を食べるのであれば、ひきわりではなく普通の粒のものを選ぶのがよいそうです。
ひきわり納豆のよいところは、粒が割れている分、豆に納豆菌がたくさん絡まっていることですが、摂取すべき納豆菌の量としては粒の納豆でも十分だそうです。あまり納豆菌を多量に摂取しすぎるのも、腸内腐敗の原因になることもあるのだとか。過ぎたるはなお、ですね。
旨味と色
タンパク質=旨味が多く含まれているかどうかは、色の濃淡で判断することができるそうです。
ちゃんと説明が理解できていないのですが(今後勉強します。汗)、タンパク質=旨味成分を多く含んでいるものは、色が濃いのだそうです。
例えば一般の酢は白米で作られているのでタンパク質が含まれておらず色が薄い。一方、黒酢は玄米で作られているのでタンパク質が多く含まれていて色が濃い。というわけです。
ただし、旨味と塩分とは別。
味噌は色が濃いほど塩分が高く、醤油は色が薄いほど塩分が高くなります。よく「薄口醤油のほうが塩分が高い」と言われますよね。
出汁について
伏木氏は海外でも活躍されていて、特に欧米圏にはベジタリアン、ビーガンが多いため、彼らから発酵食品について色々相談されるそうなのですが、野菜の発酵としては漬物しかないとのことです。
たとえば出汁にしてもベジタリアン的には昆布のみの出汁しか提供できない。そうすると提供できる料理は非常に限られてくると(湯豆腐かな?)。やはり出汁も昆布とカツオを合わせて初めて旨味が出てくるのだ、と力説されていました。
和食だったら、やっぱり魚系タンパク質が合います(カツオ、煮干しなど)。
乾物
今回特に興味深いな、と思ったのは乾燥した海藻類、いわゆる「乾物」ですね、こちらの有用性です。
フノリ、メカブ、コンブ、アオサ、岩ノリ、海藻の乾物であればなんでもよいようです。ワカメ以外であれば、とのことでした。発酵酵素をもった出汁などに乾物を入れることで、乾物が酵素を中にぎゅっと取り込みます。例えば下記のレシピ、酢のものの場合などがそうです。
乾物は、熱を加えることによって凝縮された旨味成分が抽出されます。冷めると旨味成分はまた乾物の素材が吸収してしまうので注意。
また、乾物は最初に触れた水分に旨味を抽出するので、水洗いしないこと。
ちょっとした料理のコツ
伏木さんはそもそも料理人なので、お料理をしながら色んな食材について、調理のポイントを伝授してくださいます。
お話はあちこち楽しく飛ぶので、ばらばらですが備忘として。
● マグロのヅケを作る際は、キッチンペーパーでサクを包んでから熱湯をさっとまんべんなくかけます。そうすることによってマグロのサクの表面に少しだけ火が入り、醤油がしみこみ過ぎません。
● 野菜の葉ものは、動物性の出汁を含むことによっておいしくなります。ただし「しゃぶしゃぶ」程度に。煮込んでしまうと葉ものはまた旨味を吐き出してしまいます。
● 野菜と動物性タンパク質とで特に相性がよい組み合わせは、
・ 鶏と小松菜
・ 牛筋と春菊
・ 豚とネギ
● 野菜を色よく湯がくためには、塩を加えてはいけないのだそうです。一番よいのは銅と一緒に湯がくことです。銅線または銅板は、ホームセンターなどで簡単に入手することができます。銅は繰り返し何度も使用できますが、色がくすんできたら新しいものに交換します。
● また、野菜を湯がく際はぐらぐらと沸騰した熱湯で湯がかないこと。根菜は80~90℃、葉ものは70℃くらいが適温です。
● キュウリの浅漬けは、軽く塩もみしてジップロックで冷蔵庫に寝かせるだけで簡単に作ることができますね。それはそれだけでおいしいものですが、残念ながら発酵はしていません。米麹一握りを加えるだけで、発酵させて栄養価を高めることができます。
● 料理のコツではありませんが、日本3大味噌の町、といえば、名古屋、水戸、仙台なのだそうです。
当日のメニューレシピ
春菊の白和え
銅を煮出して春菊を湯がきます。
葉ものは、しばったまま立てて茎の部分から湯がき、しばらくしてから葉の部分を沈めると葉の部分がやわらかくなり過ぎずゆがけます。灰汁(細かい泡)がでるまで湯がきます。
湯がき終わって水で流す際、ギューギュー無理に絞らないこと。軽く手で握る感じで絞ります(伏木氏曰く、「社交辞令の握手程度の力」)。
白和えは、絹こし豆腐285g、白練りごま20g、出汁(カツオ+昆布)50g、塩一つまみ。白和え自体の味を濃くしないように、とのことです。
湯がいた春菊に、少し出汁で溶いた魚卵(今回は明太子)を混ぜ合わせます。水っぽくならないように。
白和えというと一般には野菜と白和えを事前に混ぜ合わせますが、写真のように白和えを野菜の上に乗せて盛り付けるときれいです。野菜はドカッと盛らずに、少しずつ交差させるように盛っていくと高さが出ます。
酢のもの
今回はセロリ、白ウリ、ミョウガの酢のものです。セロリは斜めに切ると繊維が気になりません。白ウリは種を抜いて切りますが、あまり薄く切りすぎないこと。食感が失われます。その他キュウリやショウガを使っても美味しいですね。
カット後の野菜の重さを計り、その1%の塩を野菜に混ぜます。水分が出たら、ギュッと絞ります。
酢のものとして和えるのは出汁(カツオ+昆布)150g、酢(静置酢を使用)5g、塩少々、甘酒少々、乾燥した海藻(いわゆる乾物)20gです。
酢のものなのに随分酢が少ないように感じましたが、酢のものとは酸っぱい料理ではなく、酢によって旨味を引き出す料理なので、酸っぱくしすぎないのが肝心とのことです。
特に男性は酸っぱいものが苦手な人が多いですが、この分量くらいであれば酸っぱいものが苦手な人でも美味しくいただけます。
今回は、彩りに、湯むきしたトマトをカットして、その上に酢のものが盛り付けられました。見た目にも鮮やかですね。むしろトマトの酸味に酸っぱさを感じるやさしい味わいの酢のものでした。
里芋のすりおろし
出汁(カツオ+昆布)1ℓにすりおろした里芋(4個くらい)を入れ、ホイッパーでダマが残らないように滑らかに仕上げます。
混ざったら味噌(甘めのもの。今回は江戸味噌を使用)15g(大さじ1)くらい、塩少々で味を調えます。味噌汁を作るわけではないので、味噌は控えめに。
味噌は溶けにくいので、出汁と里芋を混ぜたものを少しとって先に別の容器でよく溶いておきます。
青ユズの皮を少し散らして香りをつけます。
焼き魚
今回はサワラです。
魚を焼く前に塩をしますが、塩をするタイミングが大切だそうです。
白身魚などふっくら仕上げたい場合は、焼く直前に塩をします。その他の魚はしっとり仕上げたいので焼く30分くらい前に塩をします。
そして魚の焼き方。伏木氏がかなり熱く語っていたポイントです。
まず身の部分を焦げるくらいしっかり焼くこと。身の部分がしっかり焼けたらひっくり返して、皮の部分がパリッとしたらOKです。ひっくり返すのは1回のみ。何度もひっくり返さないこと。
魚は油を落とすよう、必ず網で焼きます。フライパンはNGです。
ゆがいた(こちらも銅で)モロヘイヤに出汁を加えます。塩で味を調えたらブレンダーで滑らかにしてソースを作ります。
色合いがとてもきれいですね。
豚肉のグリル赤ワインソース添え
豚肉・牛肉は必ず常温に戻してから焼きます。冷たいまま焼かないこと。
豚肉の脂身と赤身の間を包丁で軽く叩いておきます。叩きすぎるとそこから旨味が逃げていくので注意。
焼く前に、豚肉に塩コショウをします。下ごしらえをするときのコショウはホワイトペッパーで。
こちらも魚同様、片面を焦げるくらいしっかり焼いて、ひっくり返してフライパンに蓋をし、余熱で焼きます。そうするとお肉がジューシーに美味しく焼けます。やはりひっくり返すのは1回だけ。
最初に焼く肉の面に焦げが付き始めるころ、1/4にカットしたカブとインゲンを加えて一緒に焼きます。
肉と野菜の焼き汁でソースを作ります。
肉と野菜を取り出した後、フライパンに残った焼き汁に赤ワイン100mlとみりん30ml、醤油40ml、塩少々、コショウ(今度はブラックペッパー)を加えて煮詰めます。煮立つ泡が細かくなってきたら出来上がり。
皿にソースを敷き、インゲン、肉、カブを盛り付けます。
マスカットのスムージー
マスカットは冷凍庫で冷やします。種なしのものを選ぶこと。
ミキサーにギンギンに凍ったマスカットと、ミント(量はお好みで)、甘酒(入れすぎないこと。今回はマスカット一房分につき甘酒大さじ2杯程度でした)、シャンパン(お酒が苦手な方、お子様向けには代わりに炭酸水を使います)を入れます。
シャンパン・炭酸水の量は、ミキサー内のマスカットがひたひたに浸る程度。
後はミキサーをかければ出来上がりです。冷たいうちにいただきましょう。
今回は結構ミントが効いていて、食後にぴったりの爽やかな飲み物でした♪
当日時間がなくて作れなかったサツマイモのデザート
500gのサツマイモをやわらかく蒸すか焼くかしてから裏ごしします。
300gのみりんをフライパンで煮切ります。だいたい量が半分くらいになり、とろみがつくまでしっかりと煮切ります。みりんは色の濃いものを使うとポテトが黒くなるので、色が薄めもの(例えば「アイオイみりん」など、とおっしゃっていました。詳細不明)を使うとよいようです。
煮切ったみりんと裏ごししたサツマイモをしっかりとからめます。
そのまま食べてもよし、残ったサツマイモの皮やその他入れ物に詰めてオーブンで焼いてもよし、お正月のきんとんにしても絶品だとか。